働かなくても生活費が保障される社会が実現したら

いつか日本でもベーシックインカムが導入されるのか

働かなくても生活最低限のお金が貰える・・・。あなたはもしこのようにいわれたらどうように思われるだろうか。

ベーシックインカムといえば近年日本でも注目され始めている社会保障制度の一つ。
誰でも一律で決められた一定額のお金を無条件に国から受け取れるという夢のような制度だ。

実際果たして日本においてそのような政策に実現性があるのか。

また導入するとして日本政府がどのようにして財源を捻出するというのか。また導入のメリットやデメリットはどうなのかなど様々な疑問が浮かんでくるだろう。

そこで今回のブログ記事では、マネー知識の一環として日本のベーシックインカム導入についてじっくり考えようと思う。

ベーシックインカムとは?日本語にすると?

繰り返しになるが、ベーシックインカムとは国民に対して一定額を無条件に支給するという制度だ。

Basic Income(ベーシックインカム)これを日本語に直訳すると、基本的(ベーシック)な所得(インカム)となる。
「基本的な所得」とはどういうことか。いくら何でも日本語に直訳しただけでは全く意味がわからない。

これは次のように読み替えると理解が早い。

「基本的な所得=必要最低限の所得」

つまり社会保障の仕組みとして、生活に必要最低限とされる金額のお金は日本政府から支給しようというわけだ。

日本のような先進国であっても貧困による餓死が社会問題化する昨今、こういった社会保障制度は弱者を救済する一つの手段となり得る。

だが私たちは「働かざるもの食うべからず」といわれ育った身・・・。働かずともお金が貰える、そんな社会保障制度に現実味を感じにくいのも無理のない話だ。

海外での導入実態

日本でベーシックインカムを導入したらといわれても、近隣諸国で導入している国がないとあまりピンとこないかもしれない。

ここでベーシックインカムを実験的に導入したり、あるいは導入の検討段階までいったりしたことのある国の名を挙げてみよう。

  • フィンランド
  • ブラジル
  • スイス
  • カナダ
  • オランダ
  • アラスカ

いかがだろうか。「思ったより多い」という方もいれば、「まだまだ少ない」という方もおられるだろう。
中でも注目すべきはフインランドとブラジルだ。

2017年よりフィンランドはベーシックインカムの導入実験を進めている。ヨーロッパとしては初の取り組みだ。まだ実験的導入となっているため対象は2000人の被験者(失業者)に限られるが、今後拡大していく可能性は十分ある。
実験は2018年末まで。日本円にしておよそ月7万円程度が支給されることとなっている。

またあまり知られていないが、ブラジルではベーシックインカムが法制化されている。
ただしブラジルでは財源問題があるため、現段階では給付制限のある児童手当となっている。残念ながらまだまだベーシックインカムと呼ぶに相応しい仕組みとはなっていない。

あとオランダも最近になって注目を集めている。オランダではオランダ第4の都市といわれているユトレヒトを皮切りに実験的導入をスタートし、今後はその範囲を拡大していく予定だ。

まだまだ検証が不十分なベーシックインカムだが、今後どのように広がりを見せるか注目してみていきたいところだ。

賛成?反対?日本の各政党の立場は・・・

さて日本でのベーシックインカム導入に話題を戻そう。

日本でこのベーシックインカム導入を進めるには日本政府がこれを推進しなければならない。そのためにはどこかの政党が先陣を切ってこれを強く推し進める必要があるだろう。

だが一体どの政党がこのベーシックインカム導入に関心を払い導入に前向きなのか。ここで各政党の立場を見ていこう。

自民党

自民党は基本的にベーシックインカムについて消極的だ。過去に週刊金曜日の出したアンケートに対しても無回答となっていた。

ある種、社会的弱者を救済するというイメージが持たれるこのベーシックインカム。経団連など財界とズブズブの自民党にとっては相容れない制度なのかもしれない。

立憲民主党

前原代表のせいで分裂を民主党が分裂を招いてしまった民主党に代わって、新たに誕生し僅かな期間で野党第一党に躍り出た立憲民主党。
まだ設立されたばかりの政党であるためベーシックインカムに対する正式なコメントはない。

旧民主党では「給付付き税額控除」という政策の導入に意欲的であったことから、自民党に比べ積極的だったといえるのではないだろうか。

公明党

自民党と同じく与党に君臨する公明党は、ベーシックインカムの意義については概ね同意するようなコメントはしているものの導入は考えていないようだ。

日本共産党

日本共産党はその政党の立場からも明らかなように、格差是正を促すベーシックインカムは検討する価値はあると考えているようだ。

日本維新の会

導入に対して前向きであるかのようなコメントはしている。
ただし橋下前代表がそうであったように、ポピュリスト的傾向が強い政党であるため大衆の支持を得るための道具と考えている節がある。

希望の党

唯一公約に「ベーシックインカム」を掲げる党ではあるが、代表で東京都知事でもある小池百合子氏も日本維新の会と同じくポピュリスト的な言動が目立つ。

社民党

日本共産党と同じく、社会保障に対する改革には前向きだ。

各党の姿勢

各党関心度に多少のばらつきはあるものの概ね積極的な党はないと言い切っても差し支えないだろう。

財源はどのように捻出するのか?支給金額を試算すると?

日本でもベーシックインカムを導入できるか。

恐らくこの問いに対して多くの人が「財源はどうするのか」という疑問に行き着くことだろう。

もし日本でベーシックインカムを導入するとなれば、実に100兆円もの財源が必要だといわれている。
(一人当たりの金額試算としては7万円くらいだといわれている。)

日本は先進国でありながら多額の債務を抱える国家だともいわれている。

そのような状況下で国民一人ひとりに対し毎月一定金額を支給するほどの財源が確保できるのか。

だがこれは案外難しいことではないといわれている。

簡単な話だが、日本政府主導で他の予算をカットすればよいだけの話である。大体どれだけ必要のない公共事業に血税が注がれていることか。

ただ単純に予算を削るといっても、既存の社会保障の枠組みはある程度維持しなければならない。

ベーシックインカムを導入したせいで、これまで受けていた社会保障の枠組みが損なわれてしまっては本末転倒である。

日本は債務国でありながら年々高まる社会保障費に悩まされている。もしベーシックインカムが前向きに検討されるようであれば、財源確保が大きな課題となることは間違いないだろう。

導入することのメリットと導入後の社会保障制度は?

日本でベーシックインカムを導入することに賛成か反対かと問われれば、恐らく誰もがメリットとデメリットについて考えるのではなかろうか。

ここでは一般的にいわれている(風説も含む)メリット・デメリットをまとめてみたいと思う。

ベーシックインカムのメリット

ベーシックインカムには数々のメリットが期待できる。それをこれからじっくりみていこう。

少子化改善効果が期待できる

少子高齢化は深刻な問題であるが、現在の平均的な所得水準では子を産み育てることは容易なことではない。
そのような意味でベーシックインカムの導入は少子化改善の一助となり得るだろう。

貧困層が減少し、格差是正につながる

非正規雇用の広がりと賃金格差、この国の社会格差は広がり続けている。
ベーシックインカムの導入を進めることが格差是正につながることはいうまでもないだろう。

犯罪が減少し治安が向上

普段私たちはあまり意識することがないが、犯罪の温床となる大きな要因となるのは貧困である。
これもほとんど知られていないが、例えば沖縄県は貧困率が全国一といわれ、青少年の非行が大きな社会問題となっている。

労働意欲が向上する

生活ギリギリ、生きるためだけに働くとなると労働意欲は当然に低下する。また現行の社会保障制度であると例えば生活保護を受けている場合、下手にアルバイトなどをすると返って収入が低くなってしまうこともあるのだ。

ベーシックインカムの場合あくまで基本的所得となるため、収入が増えたからといってなくなったり減ったりしない。
つまり人々は生きるためではなく、より豊かな生活を求めて働くことができるようになる。

ベーシックインカムのデメリット

ベーシックインカムの評価には少なからず指摘されているデメリットもある。これからベーシックインカムのデメリットについても見ていこう。

経済競争の停滞を招く

ベーシックインカムのデメリットとしてよく上がってくる主張には必ずといっていいほど経済競争を招くという主張が出てくる。

その中身とは、まず無条件に生活費を与えると働かない人が増えるというものだ。(実際には現在試算される金額で生活費をすべて賄うのは難しいのだが…。)

そして人が仕事の条件を選ぶようになり、企業側としては労務者の確保が困難となる。さらには賃上げ要求にも応じざるを得なくなりコストが上がってしまう。

これにより生産性が低下すると経済競争の停滞を招くというのだ。これがベーシックインカムの反対派のおおまかな主張といえるだろう。労働者側からするとブラック企業が減って万々歳というわけだが、企業側からすると何ともうま味がない。

財源の捻出が難しいため、他の厚生関係の予算削らざるを得なくなる

そもそも財源の捻出が難しいという意見がある。

単純に予算を削ればいいというわけではなく、これまで当然に受けていた社会保障もベーシックインカムに一本化される。つまり厚生関係の別予算を削り、ベーシックインカムに充当されることだって考えられる。

ベーシックインカムを導入したせいで、救済が必要な人が保障を受けられなくなるということも考えられるというのだ。

あなたは賛成?反対?

さて、今回の記事は「日本のベーシックインカム導入」というテーマであったが総論としてはまだまだ日本での導入は実現しにくいのが実情だ。

FXや投資とは少し離れるテーマではあったが、読者のあなたがこれから将来必要なお金を考える一つのきっかけとなったのではないだろうか。

ベーシックインカムが導入されようとされまいと、あなたが豊かに生活していく上で本当に必要なお金を考えるのはとても意義のあることに違いはあるまい。

それでは今回はニューヨーク州立大学教授で米国の億万長者研究者であるトマス・J・スタンリーの格言で締めたいと思う。

1ドルお金を使うということは、税務署に貢ぐ分、余計に稼がなければいけないということを忘れてはならない。たとえば、6万8000ドルのボートを買うには、10万ドル稼がなくてはならない。億万長者はこういう計算の仕方をする。だからあまりボートを持っている人がいないのだ。

-トマス・J・スタンリー-

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